インタビュー

現場で活きるデジタル時代の育成方法、e-ラーニングと研修の活用

日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社

日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社  新入社員研修導入事例
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写真左:HR 人財開発部 田村 聡子様 、写真右:HR 人財開発部長 遠藤 拓哉様

【会社概要】

タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、世界中の大手企業における変革の道のりを50年以上にわたり支援している、ITサービス、コンサルティングおよびビジネスソリューション企業です。コンサルティングを基盤とし、コグニティブ技術を活用した、ビジネス、テクノロジー、エンジニアリングのサービスやソリューションを総合的に展開しています。世界最大規模の多国籍複合企業体であるタタ・グループの一員で、最高水準のトレーニングを受けた60万6,000人を超えるを擁し(2022年6月末日時点)、世界55カ国で事業を展開しています。

 

【導入階層】

新入社員

 

【導入サービス】

KaWaL eLearning

ビジネスコミュニケーション研修(アウトプット特化型カスタマイズ)

 

【実施概要】

新人研修において、ビジネスの基本動作を強化するため、KaWaL eLearningを用いてビジネスコミュニケーションを事前学習し、研修ではアウトプットに特化した演習を中心としてカリキュラムで実施しました。

 

~インタビュー動画~
Q:日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社の人材育成への想い・取り組みについて教えてください。

遠藤様:当社は、日本とグローバルでチームを組み、世界と日本の知見を融合したソリューションを提供するハイブリッドモデルで事業を展開しております。ハイブリッドモデルを展開するためには、日本でコンサルテイティブなビジネス、テクノロジー提案ができる、そしてインドの社員とコミュニケーション、コラボレーションができる人材が必要になります。そのため、弊社を理解し、さまざまなソリューションを提案できる人材の育成を行っております。

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Q:新入社員に持たせたいスキル・マインドについてお伺いしたいです。

田村様:スキル面で身に付けて欲しいことは、配属後にプロジェクトに入って、チームに貢献するためのビジネススキルとテクニカルスキルです。

また、特に入社直後に持たせたいマインドは3つあります。

1. 主体性
弊社はインドの会社のため、現場に配属後、インドと日本のメンバーの両者を巻き込んでプロジェクトを進めるにあたって主体的に行動するマインドセットが非常に重要となります。

2. 自学の意識
新入社員研修全体で、インプットについては自ら学習を進める「自学」の設計をしております。インドでは自学の習慣が根付いており、社内に多くあるe-ラーニング教材を活用するためにも新入社員のうちからしっかりと「自学の意識」を、自らインプットする習慣を定着させるようにしています。

3. ラーニング&シェアリング
これは、当社のバリューに掲げている中の1つです。自ら学習したことを周りに還元する意識を身につけてもらうようにしています。

Q:「自学意識」の醸成を内定者時代から行っていますが、どのような方法で醸成されているのでしょうか。

田村様:内定期間中の学習は内定式からスタートします。内定式の際に、4月からの新入社員 研修では「インプットは自分で、アウトプットは講師が入り、みんなで研修を受講するものをメインに実施」 することを伝えています。内定期間中はLinkedIn Learningのライセンスを付与し、自ら学ぶ場を用意して、自ら学んだことをLinkedIn内に設置したグループに投稿して周囲に発信してもらっています。また内定者研修は任意参加で実施しており、いくつかのテーマに沿ったセッションを用意し、アウトプットとディスカッションをメインに構成して実施しています。また、この内定者研修でも、テーマの一つに「自学」を設定しています。例えば、人事からのインプットではなく、内定者期間中に学んだことの中から自らテーマを選んで発表してもらい、内定者から質問をあげてもらい進めるものがあります。この内定者時代の「自学」のアウトプットはこちらから指名するものではなく、立候補制です。毎月実施していく中で参加者も多くの学びを得られ、アウトプットする側もアウトプットすることの重要性を学びます。
また、このセッションの中で毎回「自学」することがいかに大事なことなのか半年間伝えて続けることで、入社時点である程度「自学する意識」が身についた 状態になっています。

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Q:今年度の新入社員研修はどのようなプログラムで実施されましたか?

田村様:自学の時間を1日設け、研修の4日間はほぼアウトプットし続けるプログラム構成で進めました。以前から自学でインプットを進めることは伝えていましたが、ビジネスコミュニケーション実践研修では、インプットは自分で学習したことを前提に進めて、アウトプット中心で進めることを新入社員に伝えていました。研修の実施前に自学する日を設け、e-ラーニングの学習、および課題に取り組んでもらいました。
今回のビジネスコミュニケーション実践研修では、新入社員同士でフィードバックし合う経験をするために小さなグループに分けて、新人同士でロールプレイングをし、また相手のアウトプットに対してフィードバックする時間を設けてもらいました。その仕掛けを取り入れることでアウトプット中心の研修が活き、学びにつながったと思います。
 新入社員を小さなグループに分けて互いに学び合った結果、担当したチェンジの講師の方からは、「ビジネスコミュニケーション研修では通常、質問がなかなか出てこないが、日本TCSからは多く出た。グループでの学び合いの仕掛けが功を奏し、理解を深め、気づきを共有できたからでは」と聞いております。また、新入社員からもお互いフィードバックし合うことで気づくことがあり、互いに話してアウトプットすることでできていない点を認識したという感想を聞いて、実施して良かったと感じています。

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Q:チームでフォローする仕組みはどのように設計されたのですか。

田村様:アジャイル開発のエッセンスを学習プロセスに取り入れ、ラーニングスクラムという6人1組のチームを編成し、2か月間同じメンバーで一日の終わりに各自の理解度や学習の進捗状況、次の学習テーマ等をシェアし合いました。研修のインプットのメインは「自学」に置いていますが、「自学」をずっと一人で続けているとモチベーションが下がったり、学習についていけない場面があったり、サボるなどが懸念されたため、周囲の到達状況を聞くことでモチベーションを高めあう工夫をしました。遅れているメンバーがいたらチームとして学びを最大化させるために何ができるのかを考えさせてチーム内でフォローするようにしました。
 研修は完全リモートで実施し、人数制限を設けて希望者だけ出社という形式で進めました。ラーニングスクラムの取り組みも対面で会えると話がスムーズに進むという感想もありましたが、2か月間も共に過ごすので後半は非常に仲良くなり、互いに助け合いうまくいったと感じています。

Q:チェンジに依頼して良かったと思う点を教えてください。

田村様:近年チェンジに毎年ビジネスコミュニケーション研修を依頼しています。毎年研修後の受講者満足度アンケートでも評価が大変高いこと、また担当者として講義を非常に効果的な研修を実施していると感じています。
今年は、自学の方針に従い、受講生がしっかりとKaWaL eLearningを用いて事前学習し、アウトプットをメインにした研修の提案でしたので、当社のニーズを満たしたものでした。やはり今年も依頼して良かったと感じております。

Q:今後の新入社員育成の展望についてどのようにお考えでしょうか。

田村様:来年度以降もしっかりと自ら学習し、アウトプットするマインドセットをより醸成していきたいと思います。そのために、今回実施したインプットは自学で実施し、そして集合研修ではアウトプットをメインに実施するやり方をより推進していこうと考えております。
また今後は、自学でインプットが進み、スキルが身についた新人は早めに現場に配属させることも視野に入れて検討していきたいと考えております。

Q:今後、会社全体の育成はどのような展望をお持ちでしょうか。

遠藤様:インプットは自学、アウトプットは講師が運営する研修のフォーマットを、全社的に取り入れていきたいと思っています。自ら学習する姿勢をつくり、その知識を持って様々な社員と自分が持っている知識をぶつけ合うことで、新しい学びをし、会社の成長を大きくする育成施策を推進していきたいです。
自学でインプットするということは大切ですが、自身がどこまで進んだのかお互いに知ることでフィードバックしてもらい、それがモチベーションにつながって学習が進む。特に困った時に励まし合うことも含めてラーニンググループの効果、重要性は世の中でも認められつつありますし、弊社でも世界規模でグループをつくる社内システムがあります。今回このコンセプトを新入社員研修で使用し、ラーニングスクラムを組みましたが、今後他のプログラムにおいても社員同士をグループ化し、お互いに学習の励まし合いを促進する仕掛けを日本の中にも取り入れていきたいと考えています。

編集後記:
今回インタビューに応じてくださった遠藤様と田村様からは、自社の風土に合った人材育成を実践されていることがうかがえました。
世の中にはさまざまな育成方法がありますが、自社の方針と育成要件を掛け合わせて進めていく必要があります。「自学」という意識を内定時代から意識させ、新入社員研修を経た配属後も活躍するための習慣作りをされている点はこれからの時代を生き抜く大切な習慣になるでしょう。
貴重なお時間をいただき、一つひとつ丁寧にお答えいただきましたことを、心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
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